WS-A70

美濃和紙の起源は古く、奈良時代といわれています。繊維にむらがなく、美しく光を透過することから、高級障子紙として使われてきました。「流水」と名付けたこの布地は、和紙の原料である楮（こうぞ）の強靭さにより実現した布地です。シルクとシルクの間に、細く裂いた美濃和紙を水の流れを連想させるよう、織り込んでいます。

デザインのヒントは、1950年代から60年代にかけて、アメリカを中心に広がった抽象絵画の動き「カラーフィールド・ぺインティング」です。色彩を分割するように、様々な綿の織り組織でデザインを構成しています。

経糸と緯糸に、艶やかで透明感のある生糸、特に緯糸には部分的に「きびそ」を「なぎ」のように織り込み、無風状態で、おだやかに揺らいでいる海面の様子をデザインしました。

イネ科の植物、ジュズダマの「種」は、熟すと表面がツヤツヤとなり、硬くなります。とても小さく、丸く、可愛らしい形状です。その形を一粒一粒、丁寧に手描きしたパターンを、手捺染で仕上げました。

梱包用のスリットテープはレーヨン製で、上下方向の引っ張りに強く、水平には裂けやすい特性があります。二重に織ったシルクオーガンジーの中心に、レーヨンテープを織り込んでいます。氷のかけらをモチーフに、矩形のパターンが浮遊するように配置した絹織物です。