滝瀬 茂さん アナログ専門レーベルGREAT TRACKS プロデューサー
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滝瀬 茂さんアナログ専門レーベルGREAT TRACKS プロデューサー
Meets ティアック

GREAT TRACKSが目指した
「80年代輸入盤の音」を
レコードプレーヤーでぜひ聴いてほしい。

GREAT TRACKSが目指した「80年代輸入盤の音」を
レコードプレーヤーでぜひ聴いてほしい。

アナログレコードがブームです。CDで音楽を聴く時代から、
インターネットで聴く時代に変わった今だからこそ、
レコードに針を落として音楽を聴くことの価値が
再び評価されているのではないでしょうか。

今回はソニーミュージックのアナログ専門レーベルGREAT TRACKSの
プロデューサー

滝瀬 茂さんをTEACの試聴室にお招きし、
GREAT TRACKSが生まれた経緯や

アナログレコードの魅力について
うかがいながら、

ターンテーブル「TN-4D-SE」、
ステレオプリメインアンプ「AX-505」を試聴いただきました。

アナログレコードがブームです。CDで音楽を聴く時代から、インターネットで聴く時代に変わった今だからこそ、レコードに針を落として音楽を聴くことの価値が再び評価されているのではないでしょうか。

今回はソニーミュージックのアナログ専門レーベルGREAT TRACKSのプロデューサー滝瀬 茂さんをTEACの試聴室にお招きし、GREAT TRACKSが生まれた経緯やアナログレコードの魅力についてうかがいながら、ターンテーブル「TN-4D-SE」、ステレオプリメインアンプ「AX-505」を試聴いただきました。

【プロフィール】

滝瀬 茂 氏
1980年音響ハウス入社。数々のレコーディングにアシスタントエンジニアとして参加し、1985年MIDIレコードへ転職。坂本龍一、矢野顕子、大貫妙子、EPOなどのレコーディングエンジニアとして活躍。EPIC・ソニーに転職後、佐野元春の制作ディレクターとして手腕を発揮。現在は株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ レガシープラス GREAT TRACKSプロデューサー。

【プロフィール】

滝瀬 茂 氏
1980年音響ハウス入社。数々のレコーディングにアシスタントエンジニアとして参加し、1985年MIDIレコードへ転職。坂本龍一、矢野顕子、大貫妙子、EPOなどのレコーディングエンジニアとして活躍。EPIC・ソニーに転職後、佐野元春の制作ディレクターとして手腕を発揮。現在は株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ レガシープラス GREAT TRACKSプロデューサー。

【今回試聴する製品】

ダイレクトドライブ・アナログターンテーブル
TN-4D-SE
薄型ダイレクトドライブモーターを採用
スタイリッシュな筐体にナイフエッジトーンアームを搭載した本格派のターンテーブル
製品ページ

Referenceシリーズ ステレオプリメインアンプ
AX-505
デスクトップにはまる高音質
テレワークにジャストサイズのプリメインアンプ。
製品ページ

【今回試聴する製品】

ダイレクトドライブ・アナログターンテーブル
TN-4D-SE
薄型ダイレクトドライブモーターを採用
スタイリッシュな筐体にナイフエッジトーンアームを搭載した本格派のターンテーブル
製品ページ

Referenceシリーズ ステレオプリメインアンプ
AX-505
デスクトップにはまる高音質
テレワークにジャストサイズのプリメインアンプ。
製品ページ

小学生の時にステレオレコードを聴いて「こんなに
音楽が広がるのか」と衝撃を受けたのがきっかけ

- 滝瀬さんは現在ソニー・ミュージックレーベルズのアナログ専門レーベルGREAT TRACKSのプロデューサーですが、その前はレコーディングエンジニアだったと聞きました。音楽との出会いはどんなものでしたか。

滝瀬:スピーカーが1つ付いた、シングル盤が乗るレコードプレーヤー が家にあって、小さい頃はそれで音楽を聴いていました。そして小学校3、4年になったときモジュラーステレオを買ってもらったんですね。その時初めてステレオを体験したわけですが、驚きました。多分ザ・タイガースのレコードでしたが、スピーカーの外側まで音が広がって聴こえたんです。スピーカーが2個になると、こんなことが起きるのかと衝撃を受けました。


- 小学校ですでにステレオに目覚めたとは! レコーディングエンジニアになるべくしてなったんですね。

滝瀬:そうかもしれません。というのも高校ではバンドをやったんですけど、バンドの練習って普通にラジカセで録音してもドラムの音しか聴こえないから、何かいい方法はないかなと思って、練習スタジオにあったミキサーにマイクを何本か入れて、いろんな楽器の音をミックスして録音したりしていました。


- それはもうレコーディングですよね。

滝瀬:そうなんですよ。それで結局音響の専門学校に行き、音響ハウスに入社して、レコーディングエンジニアの仕事を始め、その後MIDIレコードに移って、そしてEPIC・ソニーに入りました。EPIC・ソニーでは入社前の面接で「佐野元春のことを24時間考えるスタッフがほしい」と言われ、レコーディングエンジニアから制作ディレクターになりました。

2000年〜2010年頃、CDは音圧レベル競争で


「耳に痛い」ものになってしまった

- アナログレコードにこだわったレーベル「GREAT TRACKS」を立ち上げた理由を教えてください。

滝瀬:CDの出始めの頃は、現在のようなマスタリングが行われていなかったので、アナログ盤よりも音が悪いCDが世の中にいっぱい出てました。特に洋楽は、海外からマスターが来たものはまだいいのですが、日本でCDに焼き直したものは張りがない音で音量も小さかった。実際ビートルズがCDになるまではCDはあまり売れてなかったし、高音質にCD化する技術も日本にはまだありませんでした。それがだんだんCDが主流になってくると「海外じゃマスタリングってのをやっているらしい」ということがわかり、マスタリング技術が入ってきて、デジタル技術もどんどん進化していった。そうすると、今度はマスタリングでどんどん音圧を上げられるようになるんです。


-マスタリングの技術が入ってきて、CDの音圧が上がるんですね。

滝瀬:そうです。マスタリングで音圧レベルを上げると、スタジオで聴いていると気持ちいいんですよ、迫力もあるし。でも家で普通の音量で聴くとずっとピークに近いレベルで、耳が疲れるんです。僕は日曜の朝に音楽を聴きながら掃除するのが習慣だったけど、CDになってからはゆったりと聴く気にならなかった。CDはその後もどんどん音圧が上がっていきました。


-なぜCDの音圧レベルがどんどん上がっていったのですか。

滝瀬:直接的な理由はわかりませんが、アナログの時代からプロモーション的に音が大きい方がいい、というのはありました。ラジオでかかった時、音が大きい方が訴求力があるからです。ただ、アナログ盤ならいいんですよ。やっぱりアナログって角が丸いんです。だからアタックに対して完全には追従しない。どうしても潰れていくので、それが逆に心地いいアナログコンプレッションになるんです。でも同じことをCDでやると、音が尖って耳に痛いんです。

いつまでも続く音圧競争でCDがでつまらない音になってしまったので、あるときマスタリングを手掛ける事になったエンジニアに「こんな飽和した状態の音を作っていたら、CDは無くなっちゃうよ」と話したのを覚えています。それが2008年頃でした。CDの音圧競争はおそらく2000年くらいにピークに達し、そこから飽和状態が10年以上続きましたが、その間にだんだんCDから人は離れていったんだと思うんです。2010年くらいにアナログ盤を聴く機会があり「旧譜を再発するならアナログ盤にしたい」と思うようになりました。


-それがアナログ盤を出すGREAT TRACKSにつながってくるのですか。

滝瀬:そうなんですが、直接的にはGREAT TRACKSの前に手掛けた「吉田保 リマスタリングシリーズ」がきっかけとなりました。これは吉田美奈子さんなどの旧譜をCDで再発するにあたり、レコーディングエンジニアの大先輩であり、日本を代表するエンジニアでもある吉田保さんにリマスタリングをお願いしたシリーズです。当時の録音をも手掛けたご本人に、できるだけマスターテープに忠実なサウンドにリマスタリングしてもらいました。

吉田保リマスタリングシリーズ
https://www.110107.com/s/OTONANO/diary/TYR/list

滝瀬:その時の「吉田保 リマスタリングシリーズ」の謳い文句が「アナログのような優しい音」だったんです。それならアナログ盤を作ればいいんじゃないかと思うようになり会社に提案したんですが、最初は却下されました。ただ、だんだんアナログレコードのマーケットが大きくなっていき、会社の考えも変わり、再度「アナログレコードをやりたい」と話をしたら「面白いからやろう」ということになってGREAT TRACKSが立ち上がりました。

80年代の輸入盤の音を目指して、


名匠バーニー・グランドマンにカッティングを依頼

- GREAT TRACKSからアナログレコードを出すにあたって、どんな点にこだわったのでしょうか。

滝瀬:80年代の頃はよくタワーレコードなどで輸入盤を買っていましたが、たまたま同じアルバムを国内盤と聴き比べたりすると、全く音が違ったんですよ。輸入盤の方が音圧もあったし音がキラキラしていた。それでレコーディングエンジニア時代には「あの音はどうやったら出せるんだろう」とかなり試行錯誤しました。その後CDの時代になりアナログ盤のカッティングのことは忘れていましたが、GREAT TRACKSでアナログ盤を作るにあたって「輸入盤みたいな音を出したいと思っていた」ってことをまた思い出したんです。輸入盤の音が良かった理由は恐らくカッティングとプレスなんですよ。それでGREAT TRACKSを立ち上げるにあたって憧れていたマスタリングの名匠、バーニー・グランドマンにカッティングを依頼しました。実際にハリウッドのバーニーのスタジオまでマスターを持っていって「よろしくお願いします」って言いましたよ。


- 世界最高峰と言われているバーニー・グランドマンのマスタリングはやっぱり凄かったですか。

滝瀬:それが、横で見てると全く普通なんですよ。何も特別なことはしない。でも出てくる音はバーニーの音なんです。もちろん優れたエンジニアリングの賜物なのですが、多分秘密はハンドメイドのミキサーコンソールだと思います。たとえばバーニーがカッティングしたアナログ盤って、音場がすごくワイドになるんです。最初は位相をいじっているのかと思いましたが、そんなことはやってない。高域を上げ下げすることでワイド感を調整するんです。ステレオって、高域成分が広がっていて低音が真ん中に定位してるんです。だから高域の割合が多くなるとワイドになった感じがするんですかね。

- そういったバーニーのマジックをついに目撃したわけですね。

滝瀬:目撃したんだけど、バーニーはすごく仕事が早い。アルバム1枚だったら1時間ぐらいで音を作っちゃう。だから最初は何が何だか分からないまま帰ってきて、「東京で聴け」と渡されたテスト盤を日本で聴いてみたらすごくいい音でびっくりしました(笑)。その後何度もバーニーのスタジオに行くようになって、やっといろいろ分かってきました。バーニーはもう80歳手前ぐらいですが、いまも現役でバリバリやってくれます。すごいです。


- レコードのプレスも最初はアメリカの工場でされていたそうですね。

滝瀬:はい。国内のプレスはJIS規格でレベルの規定がありましたが、アメリカには規制はなかったので3dBぐらいレベルを大きく入れられます。アナログレコードって、レベルが違ったら音質が全く変わるんです。本当に全然違う音になっちゃう。それで立ち上げの時は国内にあまり選択肢がなかったこともあって、アメリカの工場でプレスしました。今は国内でやっています。

アナログ盤の再生とは


「カートリッジの演奏」を楽しむこと

- それでは、ここからはGREAT TRACKSのアナログレコードをTEACのオーディオで試聴させていただきたいと思います。
本日はレコードプレーヤーに新製品「TN-4D-SE」を用意しました。こちらは薄型のダイレクトドライブモーターを採用した薄型でコンパクトなモデルです。アンプにはReferenceシリーズのステレオプリメインアンプ「AX-505」を用意しました。こちらもデスクに置いても邪魔にならないコンパクトなサイズでありながら高音質を実現したモデルです。もういちどアナログレコードを聴きたいけどオーディオは処分してしまった、という方にお勧めしたいシステムです。

試聴のプレゼンテーションはティアック株式会社 営業マーケティング本部 景井裕二が行いました。

ダイレクトドライブ・アナログターンテーブル TN-4D-SE

Referenceシリーズ ステレオプリメインアンプAX-505

スピーカーはタンノイLEGACYシリーズの「EATON」を使用。

- このシステムで、GREAT TRACKSのアナログ盤を聴かせてください。

滝瀬:それでは坂本龍一さんの「GREAT TRACKS」を聴きましょう。

滝瀬:(試聴して)いいですね。アナログレコードって、再生に使うレコードプレーヤーで音が全然変わってくるんですよ。特に一番音に影響があるのがカートリッジです。


- TN-4D-SEのカートリッジはアメリカの歴史あるカートリッジブランドSUMIKO社の『Oyster』というMM型カートリッジが標準で搭載されています。

滝瀬:CDプレーヤーって再生なんですよ。でもレコードプレーヤーは、カートリッジが音楽を演奏しているんですよね。カートリッジが固有の振動をしてそこに空間が生まれ、それを電気信号に変換していると感じます。そのくらいカートリッジで音が大きくかわります。だから自分の好みや音楽によって、カートリッジを変えて楽しむのも、アナログレコードならではの楽しみですね。
もう一枚聴きましょうか。矢野顕子の「峠のわが家」を持って来ました。

滝瀬:(1曲目「The Girl of Integrity」試聴して)このドラム、すごいでしょう?


- ドラムの音、すごいです。この音は、アナログ盤で聴きたい音ですね。

滝瀬:スティーブ・フェローンっていうドラマーなんだけど、ニューヨークで録ってきたバスドラの音があまりにいい音で、ミックスの時、バスドラの音だけを繰り返し聴いていて、プロデューサーの坂本龍一さんに「まだ聴いてんの」と呆れられたことを思い出します(笑)。そのくらい僕も衝撃を受けたドラムサウンドでした。

再評価されている日本の「シティポップ」には、

時間とお金、そしていい音を作るための努力があった

- アナログ盤全盛期の音源を匠の技でリマスターされたGREAT TRACKSのアナログ盤で聴くのは本当に豊かな体験でした。

滝瀬:ありがとうございます。GREAT TRACKSはおかげさまで6年経ち、レーベルのタイトル数も増えて今につながっています。その間に国内のソニーミュージックのスタジオや工場がアナログレコードの製造を再開し、現在もアナログレコードのマーケットは拡大しつつあります。


- 今インターネットで世界的に80年代の日本の「シティポップ」が流行っていますが、まさにその時代の音源ですね。今聴いても、新しさや音楽的な面白さを感じます。

滝瀬:80年代の日本の音楽って、当時の好景気の影響もあって、時間もお金も存分にかかってるんですよ。70年代の後半に24チャンネルのマルチレコーダーが導入され、81年にSSLというミキサーコンソールが入ってきて録音のクオリティが上がったのと、海外レコーディングが流行ったことで、日本のエンジニアたちが欧米の録音技術をどんどん習得していったのですが、それと同時に音楽の内容もどんどんレベルが高まっていったのだと思います。それと当時は日本のレコーディング技術が「まだアメリカに負けている」という気持ちがあって、いつも追いつこうと努力していた。そういうことも影響があると思います。僕もエンジニア時代は、最長でスタジオに7泊しましたからね。その頃作っていた日本の音楽が世界的な評価を受けているとしたら、徹夜した甲斐がありました(笑)。

- メディアとしてレコードがCDに変わって、今はさらにネット配信が主流ですが、一部はGREAT TRACKSのようにアナログに回帰しています。当時のレコードとGREAT TRACKSのレコードとを比べたらどう違うのでしょうか。

滝瀬:昔のレコードには昔の良さがあるんですよ。言葉にすればアナログコンプレッサーをギンギンにかけた音圧感でしょうか。まぁ当時はそれしかできなかったわけですが。それはそれで良い音です。だから近年リマスターされたレコードを聴き比べるのは楽しいと思います。


- 今聞かせていただいたGREAT TRACKSの音はかなりクリアな印象でした。

滝瀬:そうですね。まず音圧が昔のレコードほど入っていません。全般的に今はコンプレッサーをあまりかけない傾向が強いです。バーニー・グランドマンも昔はレベルが大きかったようですが、「もっと大きくできるか」とリクエストしても「歪むから嫌だ」って言うんですよ。アナログって結局ある程度の音圧になったら追従できなくて自然にコンプがかかっちゃうので、そこが良さだったり、耳に優しかったりする点なんですね。そこを生かしつつ、CDを経験したデジタル技術でよりクリアな音になっていると思います。


- アナログレコードを聴くというのは、音楽ファンの楽しみとしてすっかり復活して定着しつつあります。でも程度のいいアナログレコード盤を探すのが大変ですから、GREAT TRACKSでクオリティの高いレコード盤が入手できるのはとても嬉しいです。音楽ファンとして「ありがとうございます」と申し上げたいと思います。本日は忙しいところ、ありがとうございました。